今回の旅の目的は二つあった。飯山線の雪景色と野沢温泉である。時刻表を調べたら、3時間半くらい滞在できそうなので迷わず下車することに決めた。戸狩野沢駅には、12:25に到着。
温泉行きバスは旨く接続していて12:30発。10分余りで温泉のとば口に当たる中尾駐車場に着いた。ここで降りたのは私一人。温泉街を歩いても20分余りだというので、入り口から奥へ歩きながら外湯に浸かろうという魂胆だ。
まず、私を迎えてくれたのは、道祖神。というより、それが見たくてここで降りたのだが・・。ここ野沢温泉は、温泉・スキー・野沢菜のみならず道祖神の宝庫でもある。二日後の15日には、国の重要無形文化財になっている道祖神火祭りがある。温泉街の北のつつじ山公園には「百体の石仏」があるようだが、今回はパス。温泉街を歩いていると石碑や石塔が目に付く。不思議だったのは、トーテンポールのような木製の双代道祖神。

ある個人宅で見つけ、このお宅の仲睦ましい夫婦の姿が想像されパチリ。散策していたら結構あちこちにあった。さすが、道祖神の郷である。道祖神は、災厄の進入を防ぐ神とされ、石像などに刻んで村境や辻などに祀っている民間信仰の神だが、子供の成長や子宝祈願、良縁祈願などの対象でもある。
さて、外湯である。当地には、無料で入れる外湯が13箇所あるようだ。渋温泉の外湯は宿泊客のみ可で、日帰り客は入れないが、ここは草津同様誰でも入れる。3時間余りで半分くらいに挑戦しようかと思ったが、浸かったのは3つ。
まず、温泉街の入り口付近にある「中尾の湯」。外湯で一番大きいとガイドにあった。先客は5人。湯船は二畳くらいのものが二つあるが、奥の方にみな浸かっていて手前は誰もいない。やがて、その訳がわかる。手前は熱すぎて誰も入れる温度じゃない。体感50度か? 湯口は二つあって、それぞれの湯船に注がれているが、構造的には真ん中を仕切り板で分けているだけ。底の方は10cm位空いている。流量で温度調節しているようだ。泉質は、含石膏・食塩・硫黄泉。久しぶりに硫黄臭のする湯に浸かったがほんのり甘さもある良い湯であった。客の出入りは激しく、入湯平均時間は10分くらいか。入れ替わり立ち替わりの入湯者にもかかわらず、湯のヘタりを全く感じない凄さ。流入量はどれくらいなのだろうか?

昼食を取った後、野沢温泉のシンボル・大湯に向かう。ここの温泉街は、碁盤の目ではないが縦横に道が走っている。が、どの通りなのか案内があってわかりやすい。ほぼ中心に近い大湯前の道は、人通りが絶えず賑やかだ。
果たして、入湯者も結構な数。湯船はこちらも二つあって広さは先ほどとほぼ同じだが、洗い場が狭い。一番奥に源泉を一旦溜める枡があり、そこから二つの船に注がれていて奥の方が流量が多く、やや熱い。体感46.5度で、何とか浸かれた。 こちらは「単純硫黄泉」とあるが、やや硫化水素の香りがした。私が上がる頃に一時客が絶え、写真が撮れてラッキー。

次いで、源泉湧出地・麻釜(おがま)に向かう。釜には蓋がしてあり、周囲を囲まれていて湧出状況を見れなかったのは残念。

その後、北西にある「真湯」(しんゆ)へ。扉を開けて、眼に飛び込んできたのは、鮮やかなエメラルドグリーン。やったー!硫化水素泉だ。ここで、出会えるとは思わなかった。先客は一人。嬉しくて、浸かるなり「見事な硫化水素泉ですね!」と言ったら、「ここだけだそうです」。ガイドを見ると大湯もここ真湯も「単純硫黄泉」とある。ところが、湯は全く異なる。比較のために浸かった3つの湯の成分表を一覧にしたが、この数値の微妙な差からはとても想像できないほどの全く異なる湯であった。
しかも、この湯、小綺麗でバリアフリー、ネコヤナギやヤマブドウなどで作った粋な飾り物まであってオシャレ。すっかり気に入ってしまった。硫化水素泉といえば、鳴子温泉(宮城)や熊ノ湯温泉・五色温泉(長野)などに浸かったことがあるが、ここの湯の黒い湯花がこれまたいい。先客がまもなくして上がり、この素敵な温泉をしばし独り占め。幸福至極のひとときであった。
駅へのバス到着がやや遅れ、越後川口行き列車に乗り遅れそうになったが、ホームで撮った一枚にはあの双代道祖神が写っていたことに帰宅後気づいた。しばし、嵌りそうな温泉である。
|
2008.1.13入湯 |
中尾の湯 |
大湯 |
真湯 |
|
陽イオン成分 |
290.1 |
189.7 |
201.1 |
1 |
水素イオン |
(H+) |
|
|
|
2 |
リチウムイオン |
(Li+) |
|
|
|
3 |
ナトリウムイオン |
(Na+) |
198.4 |
135.5 |
156.5 |
4 |
カリウムイオン |
(K+) |
6.8 |
5.9 |
6 |
5 |
マグネシウムイオン |
(Mg2+) |
|
0.2 |
0.4 |
6 |
カルシウムイオン |
(Ca2+) |
84.9 |
47.8 |
36.4 |
7 |
アルミニウムイオン |
(Al3+) |
|
0.1 |
1.2 |
8 |
マンガンイオン |
(Mn2+) |
|
|
|
9 |
鉄(II)イオン |
(Fe2+) |
|
0.2 |
0.6 |
10 |
アンモニウム |
(NH4+) |
1.1 |
1.1 |
|
11 |
ストロンチウム |
(Sr2+) |
|
|
|
|
陰イオン成分 |
603.9 |
412.9 |
430.7 |
1 |
フッ素イオン |
(F-) |
0.9 |
0.8 |
0.9 |
2 |
塩素イオン |
(Cl-) |
80.2 |
41.7 |
77.8 |
3 |
臭素イオン |
(Br-) |
0.5 |
|
|
4 |
ヨウ素イオン |
(I-) |
|
|
|
5 |
水酸イオン |
(OH-) |
|
|
|
6 |
硫化水素イオン |
(HS-) |
8.6 |
17.6 |
11.2 |
7 |
硫酸水素イオン |
(HSO4-) |
|
|
|
8 |
硫酸イオン |
(SO42-) |
490.8 |
279.6 |
243.1 |
9 |
リン酸水素イオン |
(HPO42-) |
|
|
|
10 |
炭酸水素イオン |
(HCO3-) |
7.3 |
64.1 |
97.6 |
11 |
炭酸イオン |
(CO32-) |
15.6 |
9.0 |
|
12 |
硝酸イオン |
(NO3-) |
|
0.1 |
0.1 |
|
非解離成分 |
134.2 |
112.7 |
108.4 |
1 |
メタケイ酸 |
(H2SiO3) |
126.7 |
99.8 |
95.5 |
2 |
メタホウ酸 |
(HBO2) |
7.5 |
12.9 |
12.9 |
|
溶存ガス成分 |
0.1 |
0.6 |
15.5 |
1 |
遊離二酸化炭素 |
(CO2) |
|
|
12.3 |
2 |
遊離硫化水素 |
(H2S) |
0.1 |
0.6 |
3.2 |
|
総 計 |
|
1028.3 |
715.9 |
755.7 |
|
PH |
8.9 |
8.5 |
7.6 |
|
泉温 |
81.9 |
66.2 |
61.2 |
|
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